がん手術後の尿漏れとは?

排尿の仕組み

腎臓から尿管を通って、膀胱に尿が蓄えられます。

膀胱内に200~300mlほど尿がたまると、尿意を感じます。それは、膀胱に尿がたまったことを、知覚神経や脊髄を通って大脳へ伝えられるからです。

その情報を受けた大脳から「排尿」の指令が出ると、内括約筋(自分の意思とは関係なく働く)がゆるんで、排尿の準備ができます。

外括約筋(自分の意思でコントロールできる)をゆるませると、尿が出ます。尿意があっても、外せない用事の最中であったり、トイレが見つからなかったりする時、排尿をがまんしなければなりませんが、外括約筋が働いて、それを可能にしています。

前立腺全摘治療とは

CTやMRI検査、骨シンチグラフィー等の検査の結果、がんが前立腺の中にとどまっている場合は、根治を目的とした手術が、最も推奨されます。

手術は、前立腺を周囲の臓器(精嚢腺、また骨盤内リンパ節)ごとすべて摘出するのが基本です(前立腺全摘出術)。前立腺を取り出した後は、膀胱と尿道をつなぎ直し、排尿路を確保します。

他の多くのがんと違い、部分切除ではないのは、
①前立腺がんは臓器内に多くできること
②小さな臓器であるために部分切除が難しいこと
などが挙げられます。

開腹手術のほかに腹腔鏡下手術、手術ロボットを利用するロボット支援腹腔鏡下手術があり、いずれも保険適用になっています。

前立腺全摘出後の
尿漏れ

前立腺全摘出後の尿漏れの多くは、数ヵ月から半年程度で改善しますが、9%の方に、その後も尿漏れが残ると言われています。

  • 前立腺をすべて取り出した直後は、ほとんどの患者さんが尿漏れを経験します
  • 徐々に軽くなり、3ヵ月後には日常生活に支障がない程度に回復していきます
  • 6ヵ月後にはほとんどの患者さんが回復すると言われています

Systematic Review and Meta-analysis of Studies Reporting Urinary Continuous Recovery After Robot-assisted Radical Prostatectomy Vincenzo F., et al, Eur Urol 2012, 62: 405 - 417

しかし、数%の患者さんは、6ヵ月を過ぎても尿漏れが続き、その後も好転しにくいと言われています。
海外の文献では、前立腺をすべて摘出した患者さんのうち、1年後に9%の患者さんにおいての尿漏れが続き、改善しないという報告があります。

半年以上、尿漏れが続く場合は、主治医に相談の上、尿漏れの専門医(排尿専門医)を受診してください。

主な原因

あなたは今、
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ご自分の状態を
確認してみましょう

  • 前立腺の手術直後

    手術直後は、ほとんどの方に尿漏れが発生します。

    骨盤底筋体操などで改善を促進させます。

    3~6ヵ月でほとんどの方は症状が改善します。骨盤底筋体操などで改善を促進させましょう。

  • 3ヵ月後

    80%の方はかなり改善しますが、改善度合いは治療や個人の状態によって異なります。

    改善が見られない方や、改善はみられるが不快な人は、主治医を通して、尿漏れの専門医にご相談ください。

    症状に応じて、更なる改善対策や、日常生活で不快感を低減する方法についてアドバイスします。

    症状に応じて、尿取りパット、骨盤底筋体操、オムツ、レッグバッグなど、更なる改善対策をアドバイスします。

  • 6ヵ月以降

    ほとんどの人は改善が進み、術前と同じ生活が可能となります。

    しかし、術後1年では9%の人に尿漏れが残ると報告されています。

    改善が見られない方や、改善は見られるが不快な方は、主治医を通して尿漏れの専門医にご相談ください。

    尿漏れ手術を含めて、治療法や改善策に関して検討がなされます。